Feature特集
ウールとは?⓵ ウール素材の歴史とサステナブル
ウール(羊毛繊維)には長い歴史があり、昔から衣類やカーペットなど、人々の身近なところで幅広く使われてきました。次第に技術の発展によりポリエステルのような安価で作りやすい合成繊維が普及し、ウールなどの天然繊維から置き換わるようになりました。
そんな中、環境配慮への意識が高まったことを背景に、ウールが人の身体にも自然にも優しい素材として再び注目されています。
今回は、ウールの歴史に触れ、環境に優しいサステナブル素材としても注目すべき魅力をご紹介します。
ウールの歴史
*ウールのはじまり
約8000年前(紀元前6000年頃)に中央アジアで、羊を家畜として飼い始めたといわれています。遊牧民族などによって飼育され、人々は羊の乳と肉、そして毛皮を生活に取り入れるようになりました。さらに、ウールは絨毯や家財道具としても使用されていました。
*世界各地への広がり
近代的なウール産業は、2000年前にローマ人がスペインに羊を移入したときに基盤が作られました。最も優れた性質をもったウールを作るために羊の育種改良をはじめ、そこで生まれた何十種の血統が今日のメリノ種の祖先となりました。
そこから、オーストラリアに羊が持ち込まれ、より上質なオーストラリア産メリノウールとして現在もアパレルやインテリアで名を立てています。
羊は長い歴史の中で改良が続き、現在は世界中に約3000種類いるとされています。
メリノウールとは......
メリノ種の羊から刈り取られた羊毛のことを指します。
繊維が非常に細かく、柔らかく高品質なウールの品種のひとつ。メリノ種はオーストラリアやニュージーランドで数多く飼育されています。
繊維が非常に細かく、柔らかく高品質なウールの品種のひとつ。メリノ種はオーストラリアやニュージーランドで数多く飼育されています。
一般的なウールよりも柔らかく繊維が細かい分、直接肌で触れてもチクチクしにくくストレスフリーなのも魅力です。「羊の王様」と言われるほど、羊毛の中では高級なものとして評価されています。
サステナブルな天然素材ウール
ポリエステルやアクリルのような合成繊維の製品が普及している中、ウール素材を選ぶことは環境に対してどのようなメリットがあるのでしょうか。
*再生可能な素材
羊たちは毎年新しく毛を生やすので、ウールは再生可能な天然繊維といえます。飼料になる草がある限り、羊毛は繰り返し育ちます。羊の毛は季節ごとに刈り取らないと、蓄積し、羊が健康を損なう可能性があります。羊から毛を刈り取ることは、実は羊にとってもいいことなのです。
*廃棄時に土に還る
また、羊毛は天然のたんぱく質でできているので生分解性があります。使用し尽くされた後、最終的に廃棄しても土の中で自然に分解されます。
ウールは羊から刈り取って、製品となって人々が使用し、廃棄するまでの一連の流れにおいて、
環境に悪影響を与えない素材なのです。
おわりに
今回は、ウールの歴史とサステナブルについてご紹介しました。ウールは昔から人々の生活に寄り添う素材として利用されてきました。天然繊維で土に還るウールは、環境に負荷をかけないサステナブルな素材として注目するべき素材です。
また別の特集で、ウールの高い機能性とウールフェルトについて詳しくご紹介します。
ウールについてのサイトはこちら +wool
〈参考〉快適アパレル材料としてのウール -その構造と諸特性-